porky11's diary

TOEICとか、技術とか

プログラマのための電子工学入門

私は組み込みプログラマで、Linuxオープンソースは結構読んだし、使ってきた。それなりにデバッグもできます(つもり)。カーネルソース、ドライバも守備範囲内であれば、そこそこ読める。

 

ドライバを書いていると、必ずそのチップに対応したデータシートを読み解く必要があります。この機能はデフォルトで有効かな?無効かな?ってのを調べると、「ブートストラップピンによる」的なことが書いてあったりする。なんだそりゃ?プルアップ抵抗うんぬんかんぬん?あと、この回路についているこの素子なんだろう?コンデンサ?何に必要なの?カップリングコンデンサパスコン・・・?なにそれ? 

 

腰は重いけど、知らないことがあると知りたくなる性格なので「そろそろ電子工学を基礎からやってみるか」となりました。でも、何を始めたらいいか分からなくて、いろいろ調べたり、周りに聞いたり。

 

さて結論からいうと、先輩に「電子工学やるならアマチュア無線1級(通称:1アマ)とるのがいいよ」と言われ、取得を目指すために勉強を開始。何も知らない状態から市販の問題集をやりこんで3ヶ月、無事合格しました。プログラマ(ハードウェア知識なし)のための電子工学の入門には、アマチュア無線1級の取得が最適解かと思います。

 

長々書いてもうっとおしいと思うので、要点だけ書いていきます。

 

  • 勉強時間

この勉強に割いた時間は仕事しながらで3ヶ月。平日は通勤時間+帰ってから気が向いたら30分とか。土日がメインだが1日中やってるわけではない程度。

 

  • 勉強の仕方

 

以下の「その1」とその2」を3ヶ月毎日やりこむ、最後の1ヶ月は「その3」を並行してやりはじめる。この3ヶ月プランで、1アマは取れます。

 

その1:問題集

買ったのはこの問題集1冊だけです。最初、1アマの受験期をたくさん読んで分析しましたが、この問題集が王道で良書みたいです。ただ、2012年と、ちょっと古いので、絶版にならないか心配です。見つけたら、買っておきましょう。これを3周回せば覚えられました。私の場合、1周目2ヶ月、2周目1ヶ月、3周目2週間って感じの時間がかかりました。

 

第一級アマチュア無線技士試験問題集 (合格精選400題)

第一級アマチュア無線技士試験問題集 (合格精選400題)

 

この問題集は過去問ベースで作られています。1アマの試験問題は、その6割くらいは過去に出題された問題から流用されているっぽいですが、似たような問題が繰り返し出題されています。上記の問題集は、そのような重複を排除して、かつ出現頻度の高いものがまとめられています。ですので、とりあえず、この問題集だけやっておけば、合格ラインの75は超えるはずです。

ただし、この問題集の解説は不十分ですので、 他で補う必要があります。Step2で説明します。

 

 

その2:解説サイト 

この問題集を進める上、というか1アマを取る上で、必読のサイトがあります。知る人ぞしる、gxkさんです。gxkさんのサイトが、この記事で一番紹介したかったポイントでもあります。

無線工学を基礎から学ぶ 第1級アマチュア無線技士 Top

まずは、ちょっとこのサイトを開いてみてください。

すると、画面の下のほうに以下のような「分野別出題一覧」というのが出て来ます。

分類 内容
A 電気物理 電気現象・電界・磁界・電磁誘導・コンデンサ・抵抗・コイル・絶縁体等、物理現象として捉えた電気の問題群
B 電気回路 直流/交流回路網・消費電力・過渡現象・共振回路・フィルタ回路等、回路設計の基礎となる要素の特性と計算問題群
C 能動素子 ダイオード・バイポーラトランジスタ・電界効果トランジスタ集積回路・その他半導体全般の特性や回路応用の問題群
D 電子回路 増幅・発振・変調・復調・負帰還・周波数変換・PLL等のアナログ回路要素と論理回路(デジタル回路)の問題群
E 送信機 CW,AM,SSB,FMの各送信機、デジタルを含む通信方式、リピータ、アマチュア衛星、EME、インターフェアに関する問題群
F 受信機 CW,AM,SSB,FMの各受信機、スーパーヘテロダイン方式、受信機の性能(混信除去・S/N)等に関する問題群
G 電源 変圧器・整流回路・平滑回路・定電圧回路・電圧変動率、DC-DCコンバータ・電池等に関する問題群
H アンテナ・
  給電線
定在波・進行波・整合と給電線、アンテナの種類・分類・利得・効率・インピーダンス、電界強度と誘起電圧等に関する問題群
I 電波伝搬 電離層と電離層伝搬・周波数による伝搬の違い・伝搬異常現象・フェージング・(外来)雑音等に関する問題群
J 計測 指示計器・倍率器・分流器・計測器・周波数帯ごとの計測方法と装置・電力計測・デジタル計測等の問題群

 

ご覧の通り、圧倒的ボリュームです。1アマで出題される分野の解説が網羅されております。そしてなにより、これを全て無料で読めます。

 

なお、上記分類だけでなく、過去問の出題番号からも解説を引けます。(最新の平成30年度8月の過去問解説もあり)。なので、後で書くStep3で最新の過去問を解く際にも役立ちます。

 

まずは、Step1の問題集にガンガン解説を書き込んでください。自分の手書きだと、読み返した時に脳への定着率があがるようです。

 

あと、最初のうちは特定の回路に電圧をかけた場合に、どのように電流が流れるかイメージができません。そんなときは、以下の回路シミュレータのサイトを見ると、そのイメージがつかめます。

https://www.falstad.com/circuit/e-index.html

ここにはいろいろな回路のサンプルがリスト化になっています。一見、英語なので苦手な方にはちょっとつらいかもしれませんが、Google翻訳などを使いながら頑張ってよんでみてください。

ためしに、上記のリストにある「Caps w/ Various Frequencies」というリンクを開いてみましょう。すると、コンデンサに交流電流を流した時、どんな感じで電流が流れるか、ということを表した回路のサンプルのシミューレーションが出て来ます。

同じ静電容量であれば、高周波になるほど電流が流れやすくなる(電流の流れが速い)ということが、シミュレーションの動きから見て取れます。これにより、パスコン(というコンデンサ)によってノイズ(交流信号)がアースに流れる、というのがイメージでわかると思います。

 

ちなみにどちらのサイトも、私のiPhonesafariで読めました。つまり、通勤の電車の中でも勉強できます。隙間時間をうまく使って勉強しましょう。

 

その3:公式の過去問

Step1の問題集をStep2の解説をみながら完璧にやりこめば、問題集だけで合格ラインは超えます。ただし、前述したように2012年とやや古いので、毎回1〜2割程度含まれる新傾向の問題には対応できません。

そこで以下の公式サイトから過去問2回分(余裕がある人はもっと)をダウンロードして、解いておきましょう。ここまで来ている人は問題集の中身はある程度定着していると思うので、自力で調べて解けるはずです。

公益財団法人 日本無線協会

なお、先に書いた通り、gxkさんのページで最新の過去問の解説も見れます。(gxk最強) 

 

 

1アマが取れたプログラマは、

 ・コンデンサって何につかうの?

 ・パスコンって何?

 ・コイルは?

 ・トランジスタなんだろう?増幅?

 ・位相って何よ?

 ・交流電圧?

 ・整流回路って何?

の状態からは抜け出しているはずで、何よりの1アマをとったことによる効果は「分からない電子工学の単語も、ある程度なら自力で調べられる術が、3ヶ月という割と短期間で身につく」という点です。

 

ちょっと荒治療なので、人を選ぶかもしれませんが、少なくとも入門はできたはずです。

 

以上です!